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飲食業の保険について聞きました

飲食店を始める際には、物件契約時に火災保険に入ってそれで終わりという方も多いかもしれませんが、飲食店を運営していく上では飲食店特有の様々なリスクがあるように思います。

そこで、今回はその辺りについて教えていただくために、保険のプロに話を聞いてきました。IMG_9023

お話を聞いたのは、FP(ファイナンシャルプランナー)で行政書士でもある藤田淑美(写真左)さんです。

藤田さんは、FPとして保険の知識を駆使しながら様々な事業者様向けの損害保険のプランニングを行っている保険のプロです。


川本: 今日はよろしくお願いします。

藤田先生(以下敬称略): よろしくお願いします。

川本: では早速飲食店の保険について聞いていきたいと思います。そもそも飲食店のための損害保険を選ぶためには、飲食業のリスクを把握しておく必要があると思いますが、飲食業を行う際のリスクにはどのようなものが考えられますか?

藤田: 飲食業を行う際に想定しておくべきリスクは大きく4つのカテゴリに分けられます。4つのカテゴリとは、財産に関するリスク、休業に関するリスク、お客様や第三者に対する損害賠償のリスク、従業員の労災事故に関するリスクです。

川本: では順番に説明していただけますか?まず飲食業における財産に関するリスクにはどういったものがあるのでしょう?

藤田: 財産に関するリスクとは、事業者様の所有財産に生じる火災や盗難等のリスクです。

これには店内や事務所に設置する設備、調理器具、食器、テーブル、椅子、照明等が含まれます。また、所有する建物を飲食業に使用する場合はその建物も財産に含まれます。

もちろん商品である飲食物や材料等も財産ですし、屋外に設置する看板、照明やパラソル等も対象となります。

川本: 基本的にはお店にあるものは全て含まれるということですね。

藤田: そうです。そういった財産に対するリスクとして、飲食業は厨房で火や水を扱うことから、火災や水濡れ事故が他業種に比べて懸念されます。

また、駐車場が隣接している店舗等では、お客様が駐車する際に操作を誤って外壁やガラスに衝突し破損、という事故例もあります。これからの季節は特に集中豪雨による洪水被害も懸念されますね。一階や地下の店舗は、水災のリスクも考えておいた方がよいかもしれません。

売上金を狙った店舗荒らしや盗難についてもリスクを検討したいところです。最近ではセキュリティに配慮される飲食店も多いですね。

川本: 火災、水漏れ、盗難と、一般の住宅や事務所に比べると財産に対するリスクが高いんですね。

藤田: そう言えると思います。

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川本: では次に、飲食業における休業に関するリスクにはどういったものがあるのでしょうか?

藤田: 飲食店では、火災や給排水設備等の事故が発生してしまった場合、修理期間中はお客様を入れることができませんから、休業もしくは規模を縮小して営業する、ということになってしまいます。

また、飲食業特有のリスクとして、万が一、食中毒が発生してしまった場合は、保健所からの行政処分により営業停止となる可能性もあります。

そういった休業の期間中も、家賃や人件費など一定の固定費は掛かりますし、営業継続のために別の場所に仮店舗を借りることになれば多額の費用が掛かります。事故に伴って売上が減少するだけでなく、別途費用の負担が発生する事が多いのです。

また、自分のお店で事故を未然に防ぐ対策を万全にしていても、隣接した物件で事故が発生すれば影響を受ける場合が少なからずあります。

例えば、ビルの入口をふさがれてしまったり、建物全体でガス電気水道が止まってしまったり。そのような場合にも営業を見合わせなければならないですし、休業のリスクはゼロにすることが難しいですよね。

川本: 店舗で商売をするという性質上、物理的に休業せざるを得ないケースも出てきてしまうので、かなり大きいリスクと言えそうですね。

次の利用者や第三者に対する損害賠償のリスクにはどういったものがあるのでしょう?

藤田: 飲食業特有の賠償リスクとして思い浮かぶのが、先ほどもお話に出ました食中毒ですね。夏場などは特に気になりますよね。

お店で製造・販売した食品を食べたお客様から食中毒の症状を訴えられ、店側に法律上の賠償責任が認められれば、治療費をはじめ慰謝料や被害者の方の休業補償等の支払い義務が発生します。

例えば、被害を受けられた方が妊娠中で食中毒により流産してしまったケース等、被害の甚大さや人数によっては、千万~億単位の大きな額になる可能性もあります。また、そういった事故の後でも営業を継続するには、信頼回復のための広告宣伝費も必要になってくるかもしれません。

賠償のリスクとして、次に考えていただきたいのは、財産リスクでもお話しました火災や水漏れのリスクです。

賃借物件であれば建物に損害を与えてしまった場合、物件オーナーさんに対しての賠償責任が発生します。

また、ひとたび事故が発生しますと、自身の財産への損害だけでなく、同じ建物内のテナントさんにも損害を与えてしまうかもしれません。

火災の場合は「失火責任法」により、原則として火元が賠償責任を負うことはありませんが、失火者に重大な過失がある場合は別です。

業務として火を取り扱う場合は、日常生活以上に重過失を厳しく問われる傾向があるようです。日頃からの火元の管理はもちろん、消防設備の点検や避難経路の確保も定期的に必ずしておくべきです。

そのほかにも、店内の通常の営業で懸念されるリスクとしましては、店内でお客様が転んでケガをしてしまった場合、配膳の際にお客様の衣類や持ち物を汚してしまった場合、クロークでお客様からお預かりしたものが紛失してしまった場合、など様々な賠償リスクが潜んでいます。

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川本: たしかに飲食店ではよく聞くトラブルですね。私自身も飲食店で飲み物をこぼされてしまって洋服が汚れてしまったことがあります。そのときは飲み物を一杯サービスしてもらっただけでしたが(笑)

藤田: それは災難でしたね(笑)

しかし実際にはそれで納得しないようなお客様もいますので、より大きなトラブルになる可能性もあるわけです。

なお、食中毒の疑いをはじめ、事故原因の特定に調査が必要な場合があります。

原因調査にも一定の時間と費用が掛かりますし、スムーズな解決を図るためには原因の確定を待たずにお見舞金をお支払いすることもあります。賠償額プラスアルファの想定が必要ですね。

川本: 最後に従業員の方の労災リスクにはどういったものがあるのでしょう?

藤田: 飲食業の業務の中での従業員の方のリスクとしては、調理中の火傷などのケガから、掃除中の転倒や転落、バイクや自転車で配達中の交通事故などといった様々なケースがあります。

こういった事故が発生した場合に、現場の安全管理や勤務体制に問題があるとされて、使用者が損害賠償責任を請求される場合も昨今増えていますので、リスクとして認識しておいた方がよいでしょう。

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川本: やはり飲食業特有のリスクというのが色々とあるのですね。ではこのようなリスクを踏まえて、飲食店の保険を選ぶポイントというのはどういった点でしょうか?

藤田: 飲食業向けの保険は、賠償リスクの補償を中心に必要な補償をパッケージ化した商品が複数の保険会社から販売されています。商工会議所や、組合・連合会等との提携で提供されているものもありますので、こういったものをご利用になるのも一つの手ですね。

パッケージ商品は手ごろですが、既に加入している保険の補償と重複しないように注意してください。

財産のリスクを補償する火災保険や、テナントの場合は物件オーナーに対する賠償保険は、不動産のご契約の際に掛けられているケースも多いです。

また、パッケージ商品は汎用性が高いものですので、個別の状況に合っているかどうかをよくチェックしてください。

補償額が不足していないか、逆に無駄な補償がついていないか等、ご不明な点があったり・不安があるような場合は、損害保険の代理店等に個別にご相談するのも良いと思います。

川本: 先ほどお話してくださったように、物件の契約時に火災保険に加入することが多いと思います。保険はそれで充分とも思いがちですが、それだけでは不足している部分を別の保険でカバーするということですね。その他に気をつけるべき点はありますか?

藤田: あまり聞き慣れない言葉かも知れませんが、「BCP」いわゆる事業継続計画についても考えておくと良いです。

BCPというのは、自然災害やテロをはじめとして、病気や事故といった緊急事態にあったときに、事業に与える損害をどのように抑え、事業をどう継続するか、復旧するかについて決めておく計画のことを言います。

これまでに挙げてきた4つのカテゴリは、損害保険によりマイナスを埋めることができるリスクでした。

でも、実際に飲食業を継続していく上では、事業主さんやご家族がご健康で就業できるかどうか、地震や津波、原材料価格の高騰、取引先の倒産など、リスクは挙げたらキリがないですね。

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川本: 確かに言われてみれば損害保険ではカバーできないリスクというのもたくさんありますね。

藤田: 実はそうなんです。

飲食業は何店舗も展開して大規模に行うケースもありますが、一店舗を事業主さんお一人やご家族や数名のスタッフで運営され、地域に密着し愛されながら地域の活性化の一端を担っているお店も多いと思います。

何か非常事態があっても、いち早く体制を立て直し、従来のスタッフ、馴染みのお客様、取引先とのご縁を元通り保っていくことが、地域の皆様からも望まれるのではないでしょうか。

いざという際に体制を立て直す、その元手になるのはやはり運転資金です。

損害保険から保険金が下りて、設備が元に戻っても、賠償金がちゃんと支払えたとしても、その先の営業を継続していくには資金が必要になります。

この部分では生命保険を活用するのもひとつの手です。

銀行の融資よりもスピーディに調達が可能で、なおかつ、いざという時がなく無事に過ごされた場合には退職金の資金に、という活用方法もあります。

川本: 飲食店の開業時にはたくさん準備することがあって、なかなか保険やBCPのことにまで気が回らないという方も多いかもしれませんが、「もしもの時」のことを考えて、保険やBCPについてもしっかり用意しておくことで、何かあった場合のダメージに格段の差が出るということがよくわかりました。

本日はどうもありがとうございました。

藤田: ありがとうございました。

(平成28年8月1日、行政書士法人シグマ武蔵小杉オフィスにて)


今回お話を聞いて感じたのは、保険というのは何でもかんでも入れば良いというものではなく、予算と必要性を検討した上で、必要な補償を受けられるものに加入すれば良いということです。

万が一のときに使うという性質上、保険の必要性というのは、困ったときに感じるものなので、出費を伴う保険については消極的な方も多いのではないかと思いますが、飲食店の場合には通常の事務所などに比べてもリスクが大きいので、店舗契約時の火災保険に加えて、他のリスクに備える保険も検討すると良いと思います。

藤田さんに相談したい方がいらっしゃいましたら、行政書士法人シグマにお問い合わせいただければご紹介します。もちろん紹介料などは不要ですのでお気軽にご連絡ください。

03-5843-8541

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